タイトルを堂々とシンプルに「LOVE STORY」としてしまうだけあって、どのような恋愛小説を書くべきかという問題をとおして「恋愛」そのものに対する考察が全編を貫く。しかも本作ではアナクロニズムと現代的(モダニズムというと語弊があるので)な軽い恋愛観を対比させつつも、あくまでアナクロなものを重視している点に恋愛ドラマの女王としての北川悦吏子の意気込みを感じることができる。(田中 元)